三輪山② 2019年リアルRPGを振り返る

前回のお話はこちら

奈良に行くと決まってから少しづつ止まっていた時間が動き出しました。
用心深い私は、またいつぞや梯子を外されるのでは、と気が抜けませんでした。
今はその過程はもう止まることはないということだけは分かります。

さて実際、奈良の地に降り立ってみるとそこはとても懐かしい場所でした。
ここに住める、なんなら帰らないでこのまま住んでもいいくらいと街を歩きながら奈良で生活する自分を想像したりしていました。
持ち帰りのお好み焼き屋さん、人力車のお兄さんに地元民だと間違われて、はー、きっと私はここに住んでいたことがあるのだろうとぼんやり思いました。
観光客らしくない普段着で歩いてたからという説もありますが。

奈良に滞在する日程の中で三輪山へ行こうと思っていた日がありました。
その前日、明日は降水確率が高い、というニュースが流れました。
これはやめた方がいいのか。
気比神宮に一緒に行ってくれた友人に電話で相談しました。雨が理由ではなく、山の状態が良くないようだとのこと。
予定を変更することにしました。
朝起きてみると雨でした。無理して行ったとしても山には登れないのは一目瞭然でした。

今思い返してみるとこの時すでに調整が始まっていたように思います。
空いた1日で奈良国立博物館で曜変天目茶碗を見ていました。
手持ちのアートスコープで見ると、肉眼で見るのとは違う別の美しい別の世界が広がっていて感動しました。
奈良の鹿が普通にその辺の道をあるいていること、お辞儀をすることに驚いたりしました。
奈良に来るのは中学校の修学旅行以来でした。
のんびり過ごしてホテルに帰ってから、山に登る準備をしました。
三輪山は登って帰ってきて2時間以上かかると聞いていました。
普段運動なんてしないから3時間くらいかかるかもしれない。なんとかお昼までには下山して、三輪そうめんを食べる!と決意。
荷物はなるべく少なくしよう。ガイドブックは電子版をスマホで見るとして、本は重いし置いて行こう。
御神水を汲むための空のペットボトルを持って。
そうだ、時間と体力があったら長谷寺に寄ろう。
曜変天目茶碗ですっかり虜になり、仏像をみる為にアートスコープを持って行くことにしました。
最後に条件として示された品物を忘れずリュックに入れました。
「やっと三輪山へ行ける。」
まだ終わってはいないので少し緊張しながらも普通に眠りについた覚えがあります。

翌朝、雲一つない空の下、帽子を被って朝早めにホテルを出発しました。

つづく。

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