吉備の中山と温羅④ 鳴釜神事 2019年リアルRPGを振り返る

鳴釜神事が始まりました。
神官が祝詞を唱え、阿曽女がお釜にお米を入れました。

どうか聞こえてほしいと、そういう思いで阿曽女がお米を入れたことがはっきりと分かりました。

はたして御釜の音は最後まで途切れることなく大きく聞こえました。

阿曽女役の女性の人を思う心、御釜の音の中に温羅の声が聞こえたこと。
それは愛でした。

過去世の感覚を思い出しました。
私はおそらくその昔、温羅に愛された存在でした。
阿曽媛という名前だったのかはわかりません。
温羅は言われているような鬼ではなく、土地の人は温羅を慕っていました。
温羅が吉備津彦に成敗された場面は見えないのですが、温羅に会えなくなった時の深い悲しみが残っていました。
吉備津彦に対する恨みや怒りは全くありません。恨まないと温羅と約束していたようです。

涙が流れ、呆然としながら、阿曽女役の女性からお米を頂き口にしました。
遠いところからいらしたんですね、などと話しをして下さったので現実に戻ることができました。

吉備津神社から帰り道、途中で振り返って神社を見ました。

「温羅、また来るね。」

言葉にした途端、また涙が止まらなくなりました。

今世の私は温羅の時代とは違う人です。
ですが、温羅は今の私をも愛していて、
「それでいい。」
と言ってくれます。
全部を思い出せない、今の私の人生があってこの地にはとどまれないと伝えると、
「それでいい。今を生きればいい。」
と言うのです。
私の姿は変わりましたが、温羅は私の中にあるずっと変わらないものをみてそう言ってくれているようでした。
とても深い悲しみとそれに劣ることのない壮大な愛がありました。

吉備津に行かずとも今はもう高次の場でいつでも温羅にアクセスできるのですが、あの土地に現実の身を置くというのは特別な瞬間でした。
土地が覚えていて土地の力が加わるのでしょう。

いつかもう一度、鳴釜神事をお願いしたい、あの土地に行きたいと思います。
涙を流すことは予測できますが、それでも、それでも行きたいです。
これ以上傷つくことはなくて、今もあるのは愛だけです。
ずっと変わらないようでいて、変わってきたからこそ存在し続ける愛です
今の温羅の愛に今の私が触れることで何かが癒され、涙が流れるように感じています。
温羅、ありがとう。

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